有名な観光地の悩み
水都ベネチア。世界でも有名なイタリアの観光地は、15年度観光客280万の観光客が訪れた。前年度より、18万人増加した数値だ。
観光客の増加で、町は経済的に潤った。けれど、彼らが原因で二つの問題が起きている。
一つは中心街の人口減少。五万六千人の人が流出した。住んでいる家をホテルとして貸し出し、自分は郊外に住むからだ。
商業を営むよりも、宿泊業の方が割りがいいのだと言う。中心部に住む地元の人は、まるでテーマパークだ、と嘆いている。
一つは、潟の水深が下がっていることだ。観光客を乗せた大型船が潟にまで入ってくることで、潟の底が波などで削れ、水深が下がっている。かつては40~50センチの場所は、200センチ(二メートル)にもなった。
このまま続けば、やがてベネチアの潟の海になり、美しい景色はなくなってしまうと、地元の人は心配している。
対策として、市長は観光客の制限も考えていると言う。けれど、観光客は重要な収入源だ。下手に減らせば市の存続にも関わる。
観光地にすると、食費、居住費は高くなる。人の数も増え、電車や車の使用者が増えるから、移動の妨げにもなる。
観るには易くすれば、住むには難くなる。
現在、日本では、少子高齢化で生産性の確保が難しい。観光立国に、との話も出ているけど、国外に出ていく人が増えるだけじゃないかなと思う。